データ作業、AIに任せられること・任せられないこと
生成AI時代のデータクレンジング・名寄せ・個人情報の考え方を、サンプルデータでわかりやすく解説
── AIを安心して使うための7つのチェックポイント
表記ゆれの統一や重複の洗い出しは、生成AIでかなりの部分ができるようになりました。では、データの整備はもうAIに任せればよいのでしょうか。本ページでは、AIが得意な「作業」と、人が決めなければならない「判断」を、架空のサンプルデータで切り分けます。個人情報をAIに渡すときの注意点、AIに入れる前のデータ整備、AI時代の不正対策、人とAIの役割分担まで、データに詳しくない方にも読めるようにまとめました。
表記ゆれ・名寄せの基本は、第1弾『データクレンジング入門』で解説しています。
01 INTRODUCTION「データ整理は、もうAIでいいのでは?」
ChatGPTをはじめとする生成AIに、表計算のデータを貼り付けて「表記ゆれを直して」「重複をまとめて」と頼む。数年前には考えられなかったことが、いまは誰でもできるようになりました。実際、ちょっとした整理ならAIのほうが速く、手作業より正確なことも少なくありません。
一方で、キャンペーンや顧客管理の現場では、こんな声も聞こえてきます。
AIを使い始めた現場で起きていること(よくある例)
・AIに整えさせたら、見た目はきれいなのに、中身が少しずつ違っていた
・同じ指示を出したのに、昨日と今日で結果が変わった
・「この人をなぜ対象外にしたのか」と聞かれ、AIがそうしたから、としか答えられない
・顧客リストをAIに貼り付けてよいのか、社内でルールが決まっていない

AIが変えたのは、データ整備の「作業」の部分です。逆に言えば、何を同じとみなすか、どこまでの誤りを許すか、結果をどう説明するか──という「判断」と「責任」の重みは、AIの登場でむしろ増しています。
この資料で使う言葉
02 AI CAN DOAIに任せられること ──「作業」と「候補出し」
AIが得意なことに共通するのは、ルールがはっきりしていて、結果を人が確かめやすい作業です。
| 作業 | AIの向き・不向き | ポイント |
|---|---|---|
| 全角・半角、スペース、記号の統一 | ◎ 得意 | ルールを先に決めて伝えれば、ほぼ正確。エクセルの関数より柔軟 |
| 会社名の「株式会社」「(株)」「㈱」の統一 | ◎ 得意 | そろえ方(前株・後株を含めるかなど)を指示しておく |
| 住所の書き方をそろえる | ○ おおむね得意 | 「一丁目2番3号→1-2-3」は得意。ただし町名や番地を補ってしまうことがある |
| 重複していそうな行の候補出し | ○ おおむね得意 | 「太郎/太朗」のような揺れも拾える。候補として出させるのが正しい使い方 |
| 自由記述の分類・要約 | ○ おおむね得意 | アンケートの感想を「価格」「品質」などに分ける作業は大きな時短に |
| エクセル関数・マクロの作成の手伝い | ◎ 得意 | 作った関数は、少ない件数で動きを確かめてから使う |
| 同じ人かどうかの最終判定 | × 任せない | 判定の基準は事業ごとの判断。説明責任が伴う |
| 個人情報を含む全件の処理 | △ 条件次第 | サービスの設定・契約・社内ルールの確認が先 |
数千件規模の一般的なデータを、一般的な生成AIで処理した場合の目安です。サービスや指示の仕方によって結果は変わります。
大切なのは、AIに「答え」ではなく「下書き」や「候補」を作らせるという考え方です。候補を人が確かめる形にしておけば、AIの速さを生かしながら、誤りを最終結果に持ち込まずに済みます。
03 PITFALL 1AIに表記ゆれを直させると、何が起きるか
ある会員データ(架空)の住所・氏名・会社名を、生成AIに「書き方をそろえて」と指示して整えさせた結果の一部です。
| No | 元のデータ | AIが整えた結果 | 何が問題か |
|---|---|---|---|
| 1 | 練馬区○○一丁目2番3号 | 練馬区○○1-2-3 | 正しく整えられている |
| 2 | 府中市○○町1-5 | 東京都府中市○○町1-5 | 都道府県がない元データに「東京都」を補った。広島県府中市の可能性もある |
| 3 | 練馬区○○2- | 練馬区○○2-1-1 | 番地の欠けを、もっともらしい数字で埋めてしまった(ハルシネーション) |
| 4 | 髙橋 一郎 | 高橋 一郎 | 異体字を統一。照合用ならよいが、宛名に使うと失礼になることも |
| 5 | (株)オンエーケー/(有)オンエーケー | オンエーケー | 法人格を消したため、別の2社が1社に見えるようになった |
| 6 | 090-1234-5678 | 09012345678 | そろえ方は正しいが、先頭の0が消える形式で保存すると「9012345678」に |
緑=正しい、黄=使い道によっては問題、赤=誤り。6件中、そのまま使えるのは1件だけです。
AIの誤りが見つけにくい3つの理由
(1) もっともらしい。No.3のように、AIの誤りは「ありそうな値」の形をしています。入力ミスと違い、目で見ても違和感がありません。
(2) 何を変えたか報告しない。AIは頼まれない限り、「どの行の、どこを、なぜ変えたか」を記録しません。数万件になると、元データと見比べるのは現実的ではありません。
(3) 毎回同じとは限らない。同じデータに同じ指示を出しても、結果が少し変わることがあります。キャンペーンの抽選のように「同じ処理をすれば同じ結果になる」ことが求められる場面では、大きな弱点です。
04 PITFALL 2「同じ人かどうか」は、AIに決めさせない
まず、クイズです。次の4件は、ある会員データの一部です(架空のデータ)。
| No | 氏名 | 住所 | 電話番号 | 生年月日 |
|---|---|---|---|---|
| F | 山田 太郎 | 練馬区○○1-2-3 | 03-1234-5678 | 1958/6/10 |
| G | 山田 太郎 | 練馬区○○1-2-3 | 03-1234-5678 | 1988/2/14 |
| H | 佐藤 花子 | 練馬区○○4-5-6 ○○マンション201 | 090-1111-2222 | 1985/4/1 |
| I | 佐藤 花子 | 練馬区○○4-5-6 ○○マンション305 | 080-3333-4444 | 1962/11/20 |
QFとG、HとIは、それぞれ「同じ人」でしょうか?答えを見る
答え:どちらも「別の人」です。
F・Gは、名前・住所・電話番号がすべて同じですが、生年月日が30年違います。同じ家に住む同名の親子です。H・Iは第1弾でも取り上げた、同じ建物の別の部屋に住む同姓同名の別人です。
同じデータを生成AIに渡して「同じ人をまとめて」と頼むと、AIはF・Gも、H・Iも「同一人物」として1人にまとめました。AIは「似ているものをまとめる」のは得意ですが、どの項目の違いを重く見るべきかは、事業の目的によって変わるため、AIには判断できません。
| 場面 | F・Gの扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 商品券の「1人○口まで」 | 別人として扱う | 親子それぞれに申込の権利がある |
| 「1世帯1通」のDM | 同じ世帯としてまとめる | 同じ住所に2通届くのは無駄 |
| 会員の購買分析 | 別人として扱う | 年代が違えば、好みも買い方も違う |
同じデータでも、正解は場面ごとに変わります。これを決めるのは、事業の目的を知っている人です。
「AIがそう判断しました」は、説明になりません。落選した応募者や、ポイントが付かなかった会員から問い合わせがあったとき、答えるのは発注者であり、その委託先です。判定の基準を人が決め、言葉で残し、AIはその基準に沿って候補を出す──この順番を守ることが、AI時代の名寄せの基本です。
05 PRIVACY個人情報とAI ── ルールは「育っている途中」
顧客リストや応募者データを、AIに入れてよいのか。ルールが「ない」わけではありません。むしろ、法律、国のガイドライン、Pマーク、ISMSと、よりどころは複数あります。ただ、そのどれもが生成AIの登場より前に作られたか、生成AIへの対応を始めたばかりです。
| よりどころ | もともと決めていること | 生成AIについて示していること | まだ判断が残る部分 |
|---|---|---|---|
| 個人情報保護法 個人情報保護委員会 | 個人情報の取得・利用・提供のルール | 2023年の注意喚起で、個人データを入れるならAI事業者が学習に使わないこと等を十分に確認するよう求めた | AIへの入力が「委託」「第三者提供」「提供に当たらない」のどれか。専門家の間でも見解が分かれる |
| AI事業者ガイドライン 総務省・経済産業省 | AIを開発・提供・利用する事業者の心構えと取り組み | AIを使う企業にも、利用ルールの整備、重要な判断への人の関与、記録の確認を求める | 「どこまでやれば十分か」は示されない。2024年の初版から毎年改訂中 |
| Pマーク JIS Q 15001・JIPDEC | 個人情報を守る社内の仕組みの認証 | JIPDECは、利用目的・第三者提供・海外への移転を確かめ、入力は慎重にと呼びかけている | AIサービスを「委託先」として管理するのか、何を確認すれば足りるのか |
| ISMS ISO/IEC 27001 | 情報セキュリティ全般の仕組みの認証 | 2022年版でクラウドサービス利用の管理が加わり、AIサービスもその一つとして扱える | 学習への利用や誤った出力など、AI特有の問題は直接は扱わない |
| AIMS ISO/IEC 42001 | AIそのものを管理する仕組みの認証 | 2023年に国際規格、2025年にJIS化。国内でも認証が始まった | 取得企業はまだ少なく、取引条件として定着していない |
出典:個人情報保護委員会、総務省・経済産業省、JIPDEC、ISMS-AC等の公表資料(2026年9月時点)をもとに当社で整理。
つまり、物差しは複数あるのに、「この使い方ならOK、ここから先はNG」という線は、どの物差しにもはっきりとは引かれていません。しかも、物差し同士はつながっていません。Pマークを持っていても、それだけでAIの使い方が保証されるわけではなく、ISMSも同じです。
なぜ「判断ライン」が引きにくいのか
(1) 同じ行為でも、契約と設定で結論が変わる
「顧客リストをAIに入れる」という同じ行為でも、法人向けか個人向けか、学習に使われる設定か、委託契約があるか、サーバーが海外か──で、問題のない使い方にも、避けるべき使い方にもなります。
(2) AIの変化に、ルールが追いつかない
AI事業者ガイドラインは2024年4月の初版から毎年改訂され、2026年にはAIエージェント(自分で判断して操作するAI)への対応が加わりました。2026年7月成立の改正個人情報保護法も、AI開発のためのデータ利用を条件付きで広げましたが、細かな条件は施行(公布から2年以内)までに規則で決まります。
(3) 「適法」と「信頼される」の間に、すき間がある
法律上は問題がなくても、会員や応募者が「自分のデータがAIに使われた」と知れば不信感を持つかもしれません。どこまで許すかは、顧客や取引先との約束の問題でもあります。
判断ラインの例 ── 迷いどころはどこにあるか
| 使い方 | 判断の方向 | 迷いどころ |
|---|---|---|
| 架空のデータで、関数やマクロの作り方を相談する | 問題になりにくい | 本物のデータが紛れ込まないように運用で防げるか |
| 氏名をIDに置き換えた照合用データを、学習に使われない法人向けAIで処理する | 比較的安全 | IDと氏名の対応表を、AIとは別にきちんと管理できているか |
| 顧客リストをそのまま、法人向けAIで処理する | 条件次第 | 「委託」と整理する考え方が有力だが、契約・監督・記録が前提。Pマーク取得企業なら委託先管理の手続きも必要 |
| クライアントから預かったデータを、AIで処理する | 条件次第 | 委託契約にAI利用の定めがなければ、まずクライアントの了承を得る |
| 顧客リストを、個人向けAIに貼り付ける | 避けるべき | 学習に使われる設定のまま入力されるおそれ。会社として管理できない |
一般的な考え方の整理です。実際の判断は、データの内容、契約、利用するサービスの規約によって変わります。
ルールは成熟していくのか ── 待つより、自社の線を引く
方向としては、ルールは確実に具体的になっていきます。改正個人情報保護法の規則づくり、AI事業者ガイドラインの毎年の改訂、AIMS認証の広がり、そしてPマークやISMSの審査でのAIの扱いの具体化。数年のうちに、「標識」は少しずつ立っていくでしょう。
ただし、AIの進化も同じ速さで進みます。ルールが「完成」するのを待っていると、何も使えないまま取り残されるか、気づかないうちに線を越えてしまうか、どちらかになりがちです。
いま必要なのは、「自社の判断ライン」を言葉にして持つことです。
① どの使い方を認め、どれを認めないかを書き出す(上の「判断ラインの例」のような形で)
② なぜそう判断したかの理由を、法律・ガイドライン・顧客との約束に照らして残す
③ ルールやサービスの規約が変わったら、見直す日を決めておく
同じAIでも、契約プランで「学習」の扱いが違う
| サービス | 個人向けプラン(無料・有料) | 法人向けプラン・API(有料) |
|---|---|---|
| ChatGPT | 初期設定では学習に利用される。設定でオフにできる | 初期設定で学習に利用されない |
| Gemini | アクティビティの保存がオンだと、会話が学習や人によるレビューに使われることがある。設定でオフにできる | Google Workspace版・有料APIは学習に利用されない(無料APIは改善に利用) |
| Claude | 利用者の選択による。オンにすると学習に利用され、保存期間も長くなる | 学習に利用されない(契約で明記) |
2026年8月時点の各社の公表情報をもとに整理。設定や規約は変わることがあるため、必ず最新の内容をご確認ください。
※一般的な注意点の整理であり、法的な助言ではありません。具体的な判断は、弁護士などの専門家にご確認ください。
06 PREPARATIONAIに入れる前に、データを整える
AIで顧客分析をしたい、AIのチャットボットに会員情報を参照させたい、AIで需要を予測したい。こうした「AIの活用」は、どれも元のデータが正しいことが前提です。データの世界には、「ゴミを入れれば、ゴミが出てくる(Garbage In, Garbage Out)」という言葉があります。AIは、入ってきたデータが重複していても、それを疑わずに分析します。
架空の会員データ1万件で、名寄せの前と後を比べてみましょう。
| 項目 | 名寄せ前 | 名寄せ後 | 何が起きていたか |
|---|---|---|---|
| 会員数 | 10,000人 | 8,200人 | 1,800件が同じ人の重複登録だった |
| 1人あたりの年間購入回数 | 2.4回 | 2.9回 | 1人の購入が複数の会員に分かれていた |
| 優良顧客(年10回以上) | 120人 | 210人 | 90人の上客が「普通の会員」に埋もれていた |
| DMの送付数 | 10,000通 | 8,200通 | 1通100円なら約18万円の差 |
数値は説明のための架空の例です。重複の割合はデータの集め方によって大きく変わります。
名寄せ前のデータをそのままAIに分析させると、「優良顧客は120人」という誤った前提で施策が組み立てられます。AIの分析が高度になるほど、土台のデータの誤りは見えにくくなり、影響は大きくなります。
07 FRAUD不正する側も、AIを使い始めている
キャンペーンの重複応募や、ポイントの不正取得。AIは不正を見つける側の道具であると同時に、不正をする側の道具にもなっています。名前や住所の書き方を少しずつ変えた申込データを大量に作ることは、AIを使えば簡単です。

実際のデータでは、次のように見えます(架空のデータです)。
| No | 氏名 | 住所 | メールアドレス | 応募時刻 |
|---|---|---|---|---|
| J | 鈴木 一郎 | ○○市△△2-8-1 | s.ichiro01@example.jp | 23:41 |
| K | 鈴木 市郎 | ○○市△△二丁目8番1号 | s.ichiro02@example.jp | 23:42 |
| L | スズキ イチロウ | ○○市△△2-8-1-101 | suzuki.i03@example.jp | 23:44 |
| M | 鈴木 一朗 | ○○市△△2丁目8-1 | ichiro.s04@example.jp | 23:45 |
1件ずつ見ると、どれも普通の応募です。名前の書き方はすべて違い、メールアドレスも別々です。
4件を並べると、住所の番地が同じ、メールアドレスに連番がある、数分おきに応募しているという共通点が見えてきます。これは、表記ゆれを「直す」だけでは見つかりません。どんな組み合わせが不自然かという、不正の手口についての知識が必要です。
AI時代の不正対策で大切なこと
ルールは見破られる前提で。「同じ住所は1口まで」のようなルールは、知られればすり抜けられます。応募データの傾向を見ながら、判定の観点を見直し続けることが必要です。
AIは「怪しい候補」を出す役。不自然なパターンを探すのはAIの得意分野です。ただし、応募を無効にするかどうかの判断は、根拠を確かめたうえで人が行います。
判定の観点は外に出さない。何を手がかりに不正を見つけているかは、委託先と発注者の間だけで共有し、公開しないことが基本です。
08 ROLES人とAIの役割分担 ── 人が決め、AIが作業し、人が確かめる
| 工程 | AIの役割 | 人の役割 |
|---|---|---|
| 目的を決める | ― | 何のためのデータか、どんな失敗を避けたいかを決める |
| ルールを決める | ルール案の下書き、過去の例の整理 | そろえ方、同じ人とみなす基準、許せる誤りの範囲を決めて文書にする |
| 整える | 表記の統一、住所の書き方そろえ | ルールどおりに処理されたか、件数で確かめる |
| 候補を出す | 重複・同一世帯・不正の疑いがある候補の抽出 | 候補の出し方に偏りや漏れがないか確かめる |
| 判定する | 判断材料の整理 | 候補を確認し、まとめる・まとめないを決める |
| 検品する | 集計・照合の手伝い | 抜き取り確認と、処理前後の件数の突き合わせ |
| 説明する | 報告書の下書き | 判断の根拠と経過を、わかる言葉で説明する |
黄色が「人が決める・人が責任を持つ」部分です。
AIの出力を「検品」する方法
AIを安全に使う3つの原則
① AIには「答え」ではなく「下書き・候補」を作らせる
② 何を変えたかを記録し、同じ処理をすれば同じ結果になるようにする
③ AIに渡す個人情報は必要最小限にする
09 CHECKLISTAIを使う前・委託する前に確認したい7つのポイント
社内でAIを使う場合も、AIを使う委託先に任せる場合も、同じ観点で確認できます。各項目に「聞き方」の例を添えました。
- 目的と判断の基準が、言葉になっているか何を同じとみなすか、どこまでの誤りを許すかが文書になっていて、発注者と委託先で共有されているか。聞き方の例:「同じ人とみなす基準を、文書で見せてもらえますか?」
- 個人情報をどのAIに、どこまで渡すか決まっているか学習利用・保存場所・利用目的を確認した会社契約のサービスだけを使い(社員個人のアカウントは使わない)、渡す項目を最小限にしているか。聞き方の例:「AIを使う場合、どのサービスに、どの項目を渡しますか?」
- AIの出力を検品しているか件数の突き合わせと抜き取り確認を行い、誤りの割合を把握しているか。聞き方の例:「AIで処理した結果の誤りは、どうやって見つけていますか?」
- 同じ人かどうかの最終判断を、誰がしているかAIの候補をそのまま採用せず、迷う例(F・G、H・I)を人が確かめているか。聞き方の例:「同名の親子や、同じ建物の同姓同名はどう扱いますか?」
- 処理の経過を記録し、再現できるか何件を変更・統合・除外したかを記録し、同じ処理をすれば同じ結果になるか。聞き方の例:「もう一度同じ処理をしたら、同じ結果になりますか?」
- 不正の手口の変化に合わせて、見直しているかAIを使った新しい不正の傾向をふまえ、判定の観点を更新し続けているか。聞き方の例:「最近の不正応募には、どんな傾向がありますか?」
- 誤りが見つかったときの責任と手順が決まっているかAIによる誤りも含め、誰が・どこまで・どの手順で直すかが事前に決まっているか。聞き方の例:「AIの処理で誤りがあった場合、どう対応しますか?」
10 SUMMARYまとめ ── AIは道具、決めるのは人
生成AIによって、表記ゆれの統一や重複候補の洗い出しといった「作業」は、速く、安くなりました。これは歓迎すべき変化です。一方で、何を同じとみなすかという判断、個人情報の扱い、結果についての説明責任は、AIに任せることができません。AIが作業を担うほど、その判断の質が、データ活用全体の信頼を左右するようになります。
AIを使うかどうかではなく、AIの結果を確かめ、根拠をもって説明できる体制があるかどうか。それが、AI時代のデータ整備で問われることです。
「決まっていなかった」は、通用しません
| こう言っても…… | 通用しない理由 |
|---|---|
| 「国のルールが、まだ決まっていなかったので」 | 個人情報保護法は、AIにも今のまま適用される |
| 「わが社に、AI利用の規定はなかったので」 | ルールを整えること自体が、法律の求める安全管理の一部。規定がないことが不備になる |
| 「社員が勝手に入力したので」 | 従業員を監督する義務は、会社にある |
| 「委託先に任せていたので」 | 委託先を監督する義務は、発注者にある |
| 「AIがそう判断したので」 | その基準を決めたのは誰か、と必ず聞かれる |
個人情報保護法は、事業者に安全管理措置、従業者の監督、委託先の監督を義務づけています。
AIに入れる前のデータについて、気になっていることを一行で。
「AIに入れる前に、今のデータの状態を知りたい」「委託先の処理で、どこを確かめればよいか知りたい」といった段階のご質問も歓迎しています。データを送っていただく必要はありません。
合同会社オンエーケー(OnAK)は、データクレンジング・名寄せ・データ突合を専門とする会社です。行政・金融・流通分野の大規模なデータ処理に携わってきた経験をもとに、AIを道具として使いながら、データの品質と判断の根拠を設計・検証します。